ドライバーを混乱させる最大の要因の一つが、公安委員会が設置する「規制標識」と、道路管理者や鉄道事業者が設置する「注意看板」の乖離です。桁下制限と高さ制限の違いを正確に把握していないと、思わぬトラップに捕まることになります。
公安委員会が設置する丸型の「高さ制限標識」は、法的拘束力を持つ規制標識であり、違反すれば道路交通法違反として直ちに取締りの対象となります。これに対して、鉄道のガード下やトンネル坑口に掲げられている黄色地に黒文字のアンダーパス桁下注意看板や「桁下制限〇.〇M」といった表示板は、道路管理者やJR各社・私鉄各社が物理的なクリアランスを明示するために設置した法定外看板(警戒・案内表示)です。
ここで極めて危険な盲点となるのが「実測クリアランスの誤差」です。公認の規制標識には、車両の揺れやバウンドを考慮して数十センチの安全マージン(余裕高)が見込まれているケースがあります。ところが、現場に掲げられた桁下制限標は、構造物の鉄骨やコンクリート下面までの実寸ギリギリを表記していることが少なくありません。
さらに恐ろしい事実は、路面の再舗装工事による地上高の低下です。道路のアスファルトは定期的な修繕や重ね敷き(オーバーレイ工法)によって、数センチから最大で十数センチほど路面がかさ上げされるケースがあります。看板の表示が「3.0m」のままであっても、実際の路面からのクリアランスが「2.9m」に縮んでいたという事例は、インフラの維持管理現場でも深刻な課題として議論されています。