建設評価の重要性を説いたとしても、設計住宅性能評価書が「完全に無駄」であると結論づけるのは早計です。なぜなら、多くの施主が求めている金銭的優遇の恩恵は、「設計住宅性能評価書単体」であっても十分に享受できる設計になっているからです。
第一の強みが、耐震等級3取得に伴う地震保険料割引の適用です。品確法に基づく設計住宅性能評価書において「耐震等級3」の評価を受けていれば、損害保険各社において地震保険料の最大50%割引が無条件で適用されます。仮に年間3万円の地震保険料であれば、毎年1万5000円の節税・固定費削減効果が建物の寿命が続く限り継続します。これだけで十数万円の評価書取得費用は、十数年スパンで十分に元が取れる計算です。
第二に、住宅ローン控除優遇の確実な獲得です。省エネ基準への適合が完全義務化され、省エネ性能のない住宅に対するローン減税の恩恵が著しく制限される昨今、控除限度額を上乗せするための「省エネ基準適合」や「ZEH水準」の証明書類として、設計住宅性能評価書は強力な威力を発揮します。税制改正を経た現在でも、客観的な等級証明書が手元にあることで、数百万単位の借入限度額の引き上げ枠を確実に確保できます。
第三に、住宅金融支援機構が提供するフラット35S適合証明の取得手続きの簡素化です。金利が一定期間引き下げられる「フラット35S(金利Aプラン・Bプラン)」を利用する際、設計住宅性能評価書で耐震等級3や省エネ等級を取得していれば、面倒な適合証明手続きをスムーズにクリアできます。
ここで疑問に上がるのが長期優良住宅との違いです。長期優良住宅は、耐震性や省エネ性に加えて「維持保全計画の策定」や「所管行政庁への認定申請」が必要であり、認定取得に20万〜30万円前後の諸費用と継続的な点検義務が課されます。一方、設計住宅性能評価書は「現時点での性能評価」に特化しているため、将来の点検計画に縛られたくない施主が、手軽かつ安価に税制や保険の優遇を取りにいくための実用的なバイパスとして重宝されているのです。