「病院に行くのはハードルが高いから」と、ドラッグストアで市販の睡眠改善薬(代表格:ドリエルなど)を買い求める人も大勢います。パッケージには「一時的な不眠に」と書かれていますが、病院で処方される睡眠薬とは中身がまったくの別物です。
市販の睡眠改善薬の主成分はジフェンヒドラミン塩酸塩という抗ヒスタミン薬です。これは元々、花粉症や蕁麻疹の治療薬として開発された成分であり、服用した際に出る「強烈な眠気という副作用」を逆手に取って商品化したものです。
この抗ヒスタミン成分の最大の特徴は、わずか数日の連続使用で急速に耐性が形成される点にあります。初日は眠気を感じても、3日目には体が慣れてしまい、全く効かなくなります。さらに、抗コリン作用によって口の渇き、便秘、緑内障の悪化、翌日の強烈な倦怠感を引き起こしやすいため、慢性的な不眠症の治療には一切適していません。
市販薬はあくまで「旅行先での時差ボケ」や「翌日の大事なプレゼン前夜の単発的な緊張」など、一過性の睡眠トラブルをしのぐための応急処置です。2週間以上続く不眠に対して市販薬を自己判断で買い足し続けるのは、コスト面でも健康面でも百害あって一利なしと言わざるを得ません。