一方で、入試や定期テストには「高さが一切明記されていない問題」もしばしば登場します。ここで立ち往生する受験生が後を絶ちませんが、図形問題の裏側には必ず別ルートの糸口が仕組まれています。それが、側面積から母線を求める計算と、円錐の中心角の求め方を利用した逆算ルートです。
まず押さえるべきは、円錐を展開したときに現れる円錐の展開図とおうぎ形の幾何学的性質です。側面の展開図はおうぎ形になり、その「半径」こそが円錐の「母線($l$)」に一致します。さらに、おうぎ形の弧の長さは底面の円周の長さと完全に一致するという絶対法則が存在します。
この関係性から、現場で絶大な威力を発揮する母線を求める裏技公式が成立します。
① 側面積($S$)と底面の半径($r$)から逆算する場合:
円錐の側面積には、「側面積 = 母線 × 底面の半径 × 円周率($\pi$)」という極めて簡潔な公式があります。この関係式を変形すれば、高さが分からなくても側面積と底面半径だけで母線が一瞬で導けます。
$$S = \pi l r \quad \Longrightarrow \quad l = \frac{S}{\pi r}$$
たとえば「底面の半径が 4cm、側面積が 28$\pi$ cm²」という条件であれば、母線 $l = \frac{28\pi}{4\pi} = 7\text{ cm}$ と即答できる計算です。
② 展開図の中心角($x^\circ$)と底面の半径($r$)から逆算する場合:
おうぎ形の中心角と弧の長さの比率関係を整理すると、中心角は「$360^\circ \times \frac{\text{底面の半径}}{\text{母線}}$」で表されます。ここから母線 $l$ を逆算する式は次のとおりです。
$$x = 360^\circ \times \frac{r}{l} \quad \Longrightarrow \quad l = r \times \frac{360^\circ}{x}$$
「底面の半径が 3cm、展開図の側面の中心角が 120°」であれば、母線 $l = 3 \times \frac{360}{120} = 3 \times 3 = 9\text{ cm}$ と暗算レベルで導出できます。この2つの逆算公式を脳内にストックしておくことで、問題用紙を見た瞬間に解答までの最短経路が確定します。