夢の中で「これは夢だ」と自覚し、自分の意思でストーリーや行動をコントロールできる現象を「明晰夢(めいせきむ)」と呼びます。かつては都市伝説のように扱われていましたが、現在では前頭葉の一部が睡眠中に特異な活動を示す覚醒状態として、正式に研究が進められています。
明晰夢を体験するためのトレーニング手法として、睡眠研究の世界では以下の手法が知られています。
・リアリティ・チェック(現実確認習慣):日中に「自分は今、夢を見ていないか?」と自問し、時計の文字盤を2度見る、指を引っ張るなどの確認行動をルーティン化する。夢の中でも同じ行動をとることで自覚のきっかけを作ります。
・MILD法(記憶誘導法):就寝前に「次に夢を見たら、それが夢だと気づく」と強く意図を唱えながら眠りにつく心理的アプローチ。
・WBTB法(二度寝活用法):就寝から5〜6時間後に一度起床して30分ほど覚醒状態を保ち、再び横になってレム睡眠へ直接移行を促す方法。
一方で、夢で見た出来事が現実になる「正夢」や「予知夢」はどう説明されるのでしょうか。科学的な見地では、これらはオカルトではなく「脳の無意識による高度な予測演算」と「確証バイアス」の結果と分析されています。
人間の脳は、日頃意識していない無数の環境変化や他人の微細な兆候をインプットしています。それらの情報を眠っている間に統合・シミュレーションした結果、現実に起こり得る未来を夢として描き出すことがあります。さらに、人間は無数に見た夢のうち「現実に的中した夢」だけを強く記憶し、外れた何千もの夢を忘れてしまうため、予知が成立したかのように強く印象づけられるのです。