彼を語る上で欠かせないのが、歌い手でありながら自らミックスやマスタリングまでを手がける「音の職人」としての側面である。単に歌うだけではない。音の周波数帯を理解し、どの位置にヴォーカルを配置すれば楽曲全体がもっとも美しく響くのかを計算し尽くす能力に長けている。
ライブステージや音源で耳にするクリアな音響空間は、長年の試行錯誤と妥協のないエンジニアリングの賜物だ。哀愁を帯びた低音領域から、透明感あふれる高音部へのシフト。過剰な装飾を削ぎ落としたナチュラルな残響感。サウンドエンジニアとしての確固たる視点があるからこそ、ボーカリストとしての表現力にも唯一無二の説得力が宿る。