文政年間(1818〜1830年)に創業したこの店舗は、元来、会津の地で油や味噌の卸を営む商家として産声をあげた。厳しい寒暖差を誇る会津盆地特有の気候風土は、大豆の旨味を極限まで引き出す最高の発酵環境を提供する。代々受け継がれてきた味噌醸造業としての確かな技術と鑑識眼が、現在まで脈々と息づく自慢の秘伝ダレの骨格を作り上げた。
特筆すべきは、提供する食材ごとに完全に使い分けられる種類の異なる味噌だれだ。甘めの甘味噌、山椒の爽やかな風味が鼻を抜ける山椒味噌、柚子の香辛が効いた柚子味噌、そして香ばしい荏胡麻(じゅうねん)味噌。これらは単なる調味料ではなく、百余年の歳月の中で試行錯誤を繰り返し、素材の味を引き立てる絶妙な塩梅で調合された芸術品である。