練習風景やストレッチ中の大谷翔平を捉えた写真・映像で、最も人々を驚愕させるのが、両肘を後方に引いた際に背中の中央へ肩甲骨が深く引き寄せられ、まるで皮膚の下から翼が生えているかのように突起する現象です。ネット上では「CGではないか」「人間離れした身体能力」と騒然となる場面が度々見受けられます。
解剖学的に見ると、この現象は専門用語で「立甲(りっこう)」と呼ばれる状態に極めて近いものです。肩甲骨は本来、肋骨で形成される「胸郭(きょうかく)」の上を滑るように動く構造(肩甲胸郭関節)を持っています。しかし、デスクワークや一般的な筋トレで周囲の筋肉が硬縮すると、肩甲骨は胸郭に張り付き、動きが制限されてしまいます。
大谷選手の場合、前鋸筋(ぜんきょきん)、菱形筋(りょうけいきん)、小胸筋といった深層筋(インナーマッスル)が極めて柔軟に保たれており、骨と筋肉が癒着することなく自由自在にスライドします。幼少期からの習慣的なケアと専門的なコンディショニングの積み重ねによって、筋肉量を極限まで増やした現在でも、関節の可動域が一切殺されていない点が特筆すべき事実です。