夏の甲子園予選山口大会が閉幕した後に待ち受けているのが、3年生たちの進路選択です。例年、9月から10月にかけて日本学生野球協会へ提出される「プロ志望届」の動向は、ファンの最大の関心事となります。
しかし、近年のプロ野球における育成システムの変遷と大学野球のレベル向上により、進路決定の力学は従来と大きく異なっています。
【プロの結論】アスリートキャリア論から見出すべき育成と選択の基準
選手の将来を見据えたキャリア形成という観点において、高卒でのプロ入りを目指すべき選手と、大学進学を選択すべき選手には明確な境界線が存在します。
高卒プロ志望届提出に向いている選手の条件:
- 骨格や筋肉の柔軟性など、指導によって後天的に獲得できない「天性の身体的出力」を備えている選手。
- 2〜3年間の二軍・三軍生活で結果が出なくても腐らず、自己管理を徹底できる自律心と心理的タフさを持つ選手。
- 球団スカウトから「支配下指名(最低でも4位以内)」の確約、あるいはそれに準じる評価を事前に得られている場合。
大学進学(東京六大学、東都大学リーグなど)を選択すべき選手の条件:
- 投球フォームや打撃フォームにまだ発展途上の部分が多く、筋力強化と骨格の成長を待つ必要がある選手。
- 木製バットへの順応や、高い投球術を学ぶためにハイレベルな実戦機会の積み重ねが必要な選手。
- 万が一のアスリート生命の危機に備え、セカンドキャリアを視野に入れた学際的素養を身につけたい選手。
近年、山口県内の強豪校指導者は、親や周囲の「プロに行ってほしい」という過度な期待から選手を守るため、健全な心理的バウンダリー(境界線)を引く指導を重視しています。「プロに入るのがゴールではなく、プロで10年活躍できるかどうかがすべて」という共通認識のもと、大学経由でのプロ入りを選択するケースが主流となりつつあります。