大森元貴とディズニーの結びつきを語る上で、ネット上でしばしば見落とされている重要な盲点が存在します。それは、彼がディズニー音楽を単なる「憧れの対象」として受動的にコピーしているのではなく、「自身の音楽表現を成立させるための重要なルーツの一つ」として能動的に血肉化している点です。
ネット上のまとめ記事やSNSの短絡的な言説では、「ディズニーのカバーが好評だったからディズニー風の曲を作っている」といった前後関係のねじれが散見されます。しかし、初期のMrs. GREEN APPLEのディスコグラフィを遡れば明らかなように、大森元貴のソングライティングには当初から木管楽器や金管楽器、ストリングスを緻密に配した管弦楽法(オーケストレーション)への強い関心が埋め込まれていました。壮大なテーマパークのパレード音楽や映画音楽のような躍動感あふれるアレンジメントは、彼の音楽的アイデンティティの根幹を成す要素なのです。
また、ディズニープラスなどの配信環境によって、海外の最新ポップスとクラシックな映画音楽が同じ土俵で消費される今、大森元貴の楽曲がグローバルな水準で評価されている事実も見逃せません。彼がディズニーを歌うのは突飛な越境ではなく、彼自身の音楽宇宙とディズニーの世界が最初から同じ軌道を描いていたことの証明にほかなりません。