「電気自動車(EV)にはリチウムイオン電池が積まれているのだから、鉛蓄電池は不要になるのではないか」という疑問は、ネット上でも頻繁に見受けられます。しかし現実には、テスラや日産、トヨタをはじめとする世界中のEV・PHEVにも、例外なく「12V鉛バッテリー」が補機用として搭載されています。
その背景には、安全設計上の決定的な理由があります。EVの駆動用メインバッテリーは300V〜800Vという極めて危険な超高電圧です。万が一の衝突事故や車両停止時にメインのリレー(コンタクター)を遮断して乗員を感電から守った後でも、ハザードランプの点滅、ドアロックの解除、エアバッグの作動、車載ECUの通信を維持するためには、主電源から完全に独立した12Vの安全な隔離低圧電源が不可欠だからです。
さらに、鉛蓄電池は原材料の鉛の99%以上が国内およびグローバルな流通網で完全にリサイクルされるという、全工業製品のなかでも最高水準の循環型エコシステムを完成させています。資源枯渇や地政学的リスクに晒されるレアメタル依存電池に対し、鉛蓄電池はサステナビリティとコスト安定性の両面で極めて強固な防壁を築いています。