物語の主軸となるパー一家は、一見するとどこにでもいる平凡な5人家族ですが、全員が驚異的な特殊能力を秘めたスーパーヒーロー一家です。それぞれの能力は、父親の重責、母親の柔軟さ、思春期の羞恥心、少年のエネルギーといった「家族の役割や年代ごとの悩み」が見事にメタファーとして反映されています。
一家の大黒柱であるボブ・パー(Mr.インクレディブル)は、巨大な建造物や列車をも受け止める驚異の「超怪力」と強靭な肉体を誇ります。ヒーロー活動が法的に禁止された社会で保険会社のデスクワークに追われながらも、正義への情熱を捨てきれずにいたボブの葛藤は、多くの大人の共感を呼びました。
妻のヘレン・パー(イラスティガール)は、自らの体をゴムのように自在に伸ばし、あらゆる形状に変形させる「伸縮自在の柔軟性」を持っています。家庭を巧みにコントロールする頼もしい母でありながら、続編『インクレディブル・ファミリー』では主役として社会復帰を果たし、卓越したバイクアクションと知略で事件を解決に導くなど、現代的なスーパーウーマンとしての存在感を放ちました。
長女のヴァイオレット・パーは、思春期特有の繊細さを象徴するように「透明化」と頑丈な「フォースフィールド(紫色の防御バリア)の展開」を操ります。当初は引っ込み思案で能力を隠したがっていた彼女が、家族の危機を通じてバリアを攻撃にも転用するなど、精神的な自立とともにスキルを開花させていく姿はシリーズ屈指の見どころです。
長男のダッシュ(ダシール・ロバート・パー)は、目にも留まらぬ速さで駆け抜ける「超スピード(時速数百キロ以上の脚力)」の持ち主。水の上を足を踏み外さずに疾走できるほどの俊敏性を持ち、有り余るエネルギーをいたずらに使っては両親を困らせる活発な少年ですが、戦闘時にはそのスピードを活かして敵を翻弄します。