有効求人倍率がどのような計算ロジックで算出されているかを把握すると、経済ニュースの数字が持つ重みがより鮮明に見えてきます。計算式自体は非常にシンプルです。
【有効求人倍率の計算式】
有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数
ここで使われる「有効」という言葉には厳密な定義が存在します。ハローワークにおいて、求人票や求職申し込みの有効期間は原則として「受理された月の翌々月末日まで(約2か月間)」と定められています。つまり、当月に新しく申し込まれた数だけでなく、前月以前から繰り越されて有効期限内にある求人数と求職者数を合算したものが「有効求人数」「有効求職者数」となります。
これとよく混同される指標に「新規求人倍率」があります。新規求人倍率は、その月に新しく登録された求人数と求職者数だけで算出する指標です(計算式:新規求人数 ÷ 新規求職者数)。企業の採用意欲の「今現在の瞬発的な変化」を鋭敏に捉えるため、景気の後退や急激な回復局面では新規求人倍率の方が先に大きく動く特徴を備えています。
経済学や統計の観点から見ると、内閣府が発表する「景気動向指数」において、新規求人倍率は景気の動きに先んじて変動する「先行系列」に分類されます。これに対して、過去の繰り越し分を含む有効求人倍率は、現在の景気局面とほぼ同時に動く「一致系列」として扱われます。景気の現在地を冷静に見極めるモノサシとして、厚生労働省発表データが中央銀行や政策担当者、機関投資家から重視される理由はここにあります。