巡行の先頭を進む長刀鉾には、人間として唯一乗ることを許された長刀鉾稚児が搭乗する。神の使いとしての役割を担う10歳前後の少年は、7月初旬の結納の儀を経て「お位貰い」の儀式に臨み、位階を授かる。この期間中、稚児は地に足をつけず、手洗いや食事の世話に至るまで厳格な忌みに服す伝統が守られている。
巡行当日の朝、四条麩屋町の交差点で行われる「注連縄切り」は、祭りの緊張感が頂点に達する一瞬だ。小刀を手に握った稚児が一閃の動作で注連縄を切り落とすと、神域と俗世の境界が解き放たれ、巨鉾が動き出す。一般には未公開とされる過酷な参籠生活と修行を乗り越えた少年のまなざしには、千年の時を超えて引き継がれる神聖な気品が宿っている。