「社会に不満を持つ若年層の低所得者」というイメージは、実体とは大きく異なる。政治社会学の知見に基づく調査分析で知られる関西大学の辻大介教授による実態調査や、その成果をまとめた書籍『ネット右翼の構造』は、ステレオタイプを真っ向から覆す実態を提示した。
データが示す主たる層は、40代から60代を中心とする中年以上の男性であり、世帯年収や学歴においても平均的、あるいはそれ以上の階層が少なくない。彼らを過激な言論へ駆り立てるのは、経済的困窮というよりも「自分たちの文化や誇りが侵されている」という被害者意識と、強い承認欲求である。特定の国家や国内のリベラル派を「共通の敵」に仕立て上げることで、仲間うちでの連帯感と自己肯定感を得る構造が潜んでいる。