2021年夏の体制変更から月日を経て、2026年現在のいきものがかりは「2人体制」としての音楽的アイデンティティを完全に確立させています。2人体制への移行直後は「山下のギターやハーモニカ、叙情的なソングライティングが失われるのではないか」というファンの懸念もありましたが、彼らはその変化を真正面から受け止め、より研ぎ澄まされたサウンドプロデュースへと昇華させました。
ボーカルの吉岡聖恵は、2020年夏の一般男性との結婚、そして2022年秋の第1子出産という人生の大きな転機を経て、歌声に母性と温かな深みを加えています。2024年の全国ホールツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2024 〜あなたと!わたしと!みんなで!歌いまSHOW!!〜」や2025年以降の精力的なステージでも、伸びやかで力強いハイトーンボイスは健在であり、アコースティック編成からフルバンドまで変幻自在の歌唱力を披露しています。
一方、リーダーの水野良樹は、いきものがかりのメインソングライターとしての軸足を揺るぎないものにしながら、主宰する実験的プロジェクト「HIROBA」の展開や、文筆家、さらには他アーティストへの楽曲提供など多面的なクリエイティビティを発揮しています。3人時代が「青春の延長線上にある共同体」だったとすれば、現在の2人体制は「互いの自立した生活とクリエイティブをリスペクトし合うプロフェッショナルユニット」へと美しく成熟を遂げました。