体温計の先端にある感温部(サーミスタ)は、周囲の温度変化に極めて敏感だ。脇の下を強く擦ると皮膚の表面に摩擦熱が生じる。この局部的な発熱をセンサーが拾うと、表示温度は瞬時に38度や39度へと急上昇する。温水や温かいお茶に浸す行為に至っては、液体から直接熱移動が起こるため、一発で高熱の数値が叩き出される。
しかし、これは「体温」を測っているのではない。単に熱源の温度を物理的に記録しているに過ぎないのだ。特に電子体温計の感温チップは極小の金属膜で作られており、短時間での急激な温度変化に晒されると熱衝撃(サーマルショック)を起こす。結果として内部回路がダメージを受け、次回から正確な測定ができなくなるリスクがつきまとう。