かつての技術では、炭酸水に麦芽エキスや香料、甘味料を足して「ビールらしさ」を偽装するしかなかった。しかし現在、醸造テクノロジーの進化が味覚の常識を覆している。その筆頭が、一度通常通りにビールを醸造し、発酵完了後に減圧蒸留などの手法でアルコール分だけを精密に取り除く「脱アルコール製法」だ。低温かつ減圧下で処理を行うため、麦芽本来の旨味やホップの繊細な香気成分を損なうことなく残すことができる。
この分野でしのぎを削るのが、技術革新を牽引する巨大メーカー勢だ。アサヒビール株式会社は本物のビールからアルコールを抽出する「スマートドリンキング」構想を掲げ、味わいの完成度を極限まで高めたラインナップを展開。対するサントリーホールディングスも独自の香気成分分析技術を駆使し、ひとくち目のキレと後味の重厚感を両立させた。ブラインドテストを行えば、プロのソムリエすら本物のビールと見誤るほどの仕上がりを見せている。