かつての副鼻腔炎手術といえば、歯茎を切開して骨を削る大掛かりなものが主流だった。しかし現在は、体に優しい内視鏡下副鼻腔手術(ESS)が標準的な選択肢となっている。鼻の穴から高精細なカメラと微小な器具を挿入し、病変のある粘膜やポリープ(鼻茸)だけをピンポイントで除去する手法だ。
この術式の最大のメリットは、顔の表面に傷が残らず、身体的負荷が極めて少ない点にある。術中の痛みに関しても、全身麻酔や局所麻酔が適切に管理されているため、手術そのものを痛みとともに記憶する患者はほとんどいない。一方で、デメリットや注意点も存在する。手術後は定期的な鼻洗浄や通院処置が欠かせず、粘膜が完全に上皮化するまでには数ヶ月単位のセルフケアが必要となる。最新のハイビジョン内視鏡やナビゲーションシステムの普及により、安全度は格段に増しているものの、アフターケアを怠らない根気が求められる。