現代人の慢性疾患ともいえる肩こりにおいて、僧帽筋は常に主犯格として扱われます。しかし、実際には「僧帽筋上部が過緊張する一方で、中部・下部線維や前鋸筋は筋力低下を起こして伸張されている」パターンが大多数を占めます。
デスクワークやスマートフォンの長時間使用により頭部が前方へ突き出ると(フォワードヘッドポスチャー)、約5〜6kgある頭部を支えるために僧帽筋上部と肩甲挙筋が持続的に等尺性収縮を強いられます。これにより筋内圧が上昇して血流障害(虚血)が起こり、発痛物質が蓄積して「コリ」「重だるさ」へと発展します。
さらに、胸前方の小胸筋や大胸筋が短縮すると、肩甲骨は外転・前傾(巻き肩)します。このとき、拮抗する菱形筋や僧帽筋中部・下部は引き伸ばされて機能不全に陥り、肩甲骨を正しい位置に保持できなくなります。つまり、僧帽筋上部だけを揉みほぐしても、弱化した下部線維や拮抗筋のバランスを整えなければ根本解決には至りません。