日本国内で最も注目を集めているのが、日本の防衛費の順位と「GDP比2%」への増額です。かつて日本は長年にわたり防衛予算をGDPの約1%(約5兆円前後)に抑えており、世界順位でも9位〜10位前後を推移していました。しかし、2026年末に閣議決定された「国家安全保障戦略」など安保3文書に基づき、5年間で総額約43兆円という抜本的な防衛力強化に踏み切りました。
この増額によって、海上保安庁の予算や国連平和維持活動(PKO)分担金、研究開発費などを含めたNATO基準(NATO定義の国防関係費)でのGDP比2%枠への到達が進められ、日本の防衛費順位は世界5位〜6位クラスへと急浮上しました。
なぜ、これほど大規模な日本防衛費の増額が必要とされたのか。政府の公式発表および防衛関係者の証言によると、背景には3つの決定的な理由が存在します。
第一に、スタンド・オフ防衛能力(反撃能力)の構築です。極超音速滑空兵器や変則軌道を描く弾道ミサイルが開発される中、従来の迎撃専用システムだけでは完全な防空が困難となりました。相手の射程外から攻撃できる国産の12式地対艦誘導弾能力向上型や、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入など、抑止力を根本から底上げする装備取得に多額の予算が充てられています。
第二に、継戦能力(弾薬・燃料の確保と施設抗堪化)の是正です。過去の自衛隊は正面装備の調達を優先するあまり、弾薬備蓄や予備部品の不足が長年指摘されていました。ウクライナ戦争の実戦訓を踏まえ、有事の際に長期間戦い続けられるだけの弾薬庫の増設や基地機能の地下化・分散化が急務となったのです。
第三に、宇宙・サイバー・電磁波という新領域への対処です。現代戦では通信衛星の無力化やインフラへのサイバー攻撃が第一撃となるため、自衛隊サイバー防衛隊の拡充や民間先端技術(デュアルユース)の安全保障への応用が不可欠となっています。