動画制作現場で長年議論されているのが、ネット上に散見される「ジョジョ風フォント」は商用利用しても良いのかという問題です。この議論には、日本の著作権法とフォントプログラムの保護に関する法律上の複雑な背景が関係しています。
まず前提として、ジョジョ文字著作権侵害の理由を明確に理解しなければなりません。漫画の1コマをスキャンし、荒木飛呂彦氏が描いた「ゴゴゴ」の肉筆文字だけを切り抜いて透過処理した画像は、100%同氏の「複製権(著作権法第21条)」および「公衆送信権(同法第23条)」を侵害します。文字自体が単なる情報伝達用の記号を超え、絵画的・彫刻的な創作性を具備しているため、美術の著作物として保護対象になる可能性が極めて高いためです。
一方で、ファンや個人のタイポグラファーが制作した「ジョジョの世界観を模したフォント」を巡るジョジョ風フォント商用利用の真相はどうでしょうか。日本の最高裁判所判例(平成12年9月7日判決ほか)において、印刷用フォントの書体意匠そのものには原則として著作権法上の保護を認めない判断が定着しています。しかし、フォントのデータファイル(TrueTypeやOpenType形式のプログラム)自体はプログラムの著作物として保護されます。
つまり、非公式に配布されているフォントを「無料だから」と勝手に企業のPR動画やYouTube収益化チャンネルで適用した場合、書体の意匠侵害ではなく「フォント製作者の利用規約(EULA)違反による契約不履行・損害賠償請求」に直結します。現在、荒木飛呂彦擬音フォント現在の流通状況を調査しても、集英社や荒木プロが公式に一般クリエイター向けとしてロイヤリティフリー提供している「ゴゴゴ」専用フォントは一切存在しません。市販の公式タイアップ限定フォントを除き、安易な有志フォントの商用利用には致命的な落とし穴が存在します。