法律上、血縁関係のある親族を整理するにあたり、まず押さえるべきは民法における血族の定義です。血族には、親や祖父母のように自分より前の世代にあたる「直系尊属」、子や孫にあたる「直系卑属」、そして横のつながりである兄弟姉妹や叔父・叔母などの「傍系血族」が存在します。このうち、同じ親から生まれた兄弟姉妹であっても、両親の双方が同一である者を「全血(ぜんけつ)兄弟」、父母のどちらか一方のみを同じくする者を「半血(はんけつ)兄弟」と区別します。
異母兄弟(いぼきょうだい)とは、まさにこの半血兄弟のうち「父親が共通で、母親が異なる兄弟姉妹」を指す言葉です。一般的な呼称としては「種違い」と呼ばれることもありますが、公的な法手続きでは「父を同じくする半血兄弟姉妹」と定義されます。
ここで混同されやすいのが、異母兄弟と異父兄弟の違いです。異父兄弟(いふきょうだい)は「母親が同じで、父親が異なる兄弟姉妹」を指します。日常の呼び名としては似通っていますが、民法上の親子関係の成立プロセスには決定的な落とし穴が潜んでいます。
母親と子どもの関係は「分娩の事実」によって当然に発生するため、異父兄弟は出生と同時に法的な血族関係が確立します。これに対し、父親と子どもの関係は「婚姻中の懐胎(嫡出子)」であるか、あるいは非嫡出子の認知と法律上の扱いを経ているかによって左右されます。もし父親が婚姻関係にない女性との間に生まれた子どもを認知していなければ、生物学的な血のつながりがあっても、法律上は親子・兄弟関係が一切成立しません。この「父親による法的な認知の有無」こそが、異母兄弟を語るうえで避けて通れない最大の分岐点です。