森川智之氏とジョジョシリーズの関わりを語る上で欠かせないのが、演じたキャラクターの「変遷」です。TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』において、森川氏は杜王町に潜む連続殺人鬼・吉良吉影、そして身元を偽装した姿である川尻浩作の声を担当しました。平穏なサラリーマンとしての日常を装いながら、内面に異常な性癖と冷徹な殺人衝動を抱える男を、極めて抑制された低音と狂気を孕んだトーンで見事に表現しています。
一方で、熱心なファンの記憶に強く残っているのが、対戦格闘ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル(ASB)』および『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン(EoH)』での配役です。これらのゲーム作品において、森川氏が演じていたのは第4部の吉良吉影ではなく、第5部の絶対的帝王・ディアボロでした。二重人格の恐怖と帝王としての傲慢さを爆発させるディアボロの叫びは、当時大きな話題を呼びました。
激情を剥き出しにして「帝王はこのディアボロだッ!」と叫ぶ支配者ディアボロと、「植物の心のような平穏」を求めて静かに息を潜める吉良吉影。森川氏は、荒木作品における対照的な二大カリスマヴィランを、それぞれ全く異なるアプローチで完璧に演じ分けています。この演じ分けの幅広さこそが、声優界のトップランナーとして君臨する森川氏の真骨頂といえます。