WebコミュニティやSNS(知恵袋、X、掲示板等)の生の声に耳を傾けると、顔のアトピーに苦しむ患者のリアルな葛藤と切実な叫びが浮かび上がります。
「朝起きると枕に黄色い汁がベットリついていて絶望する」「顔の浸出液が乾いてカピカピになり、口を開けるだけで皮膚が裂けて血が滲む」「デュピクセントを始めて身体のかゆみは劇的に消えたのに、なぜか顔と首の赤みだけが頑固に残っている」――こうした悲痛な投稿は後を絶ちません。
臨床現場で最も慎重な判断が求められるのが、顔から浸出液が出ている状態への初期対応です。黄色く粘り気のある浸出液(ジュクジュク汁)は、皮膚組織が破壊されて血管透過性が亢進し、血漿成分が漏れ出している証拠です。この状態で最もやってはいけない致命的なミスは、「乾燥させれば治る」と放置すること、あるいは「保湿が足りない」と油分たっぷりのクリームやワセリンを塗りたくることです。
浸出液が出ている皮膚は、黄色ブドウ球菌の格好の温床となっています。油膜で密閉すると熱がこもり、菌が爆発的に繁殖して伝染性膿痂疹(とびひ様症状)を引き起こします。また、単純ヘルペスウイルスが広範に感染する「カポジ水痘様発疹症」を併発しているケースもあり、この場合はステロイドや免疫抑制外用薬を塗ると急激に悪化します。浸出液が出た際は自己判断での保湿を直ちに中止し、生理食塩水や水道水のシャワーで優しく洗い流した上で、亜鉛華軟膏(ボチート等)による浸出液の吸着保護や、抗菌薬・抗ウイルス薬の処方を仰ぐのが鉄則です。
また、先進治療であるデュピクセント投与患者の間で議論を呼んでいる「顔の赤み」に関する評判も見逃せません。全身の皮疹が改善したにもかかわらず、顔面や首周りに限って赤みが持続・悪化する現象は、皮膚科学界で「デュピルマブ誘発性頭頸部紅斑」として詳細に分析されています。これはIL-4/13を阻害した結果、真菌に対する免疫バランスがシフトし、前述のマラセチア性毛包炎や接触皮膚炎が顕在化することが主な原因と判明しています。現在では、抗真菌外用薬(ケトコナゾール等)やコレクチム軟膏を顔面に追加併用することで、良好なコントロールを得られることが分かっています。