出兵がもたらした影響は、遠く離れたシベリアの前線にとどまらなかった。軍需物資の需要が急増したことで国内の米価格が暴騰。全国各地で生活苦に喘ぐ民衆が立ち上がり、歴史的な「米騒動」が勃発する要因となった。内閣が倒れるほどの国内混乱を引き起こしながらも、派兵は止められなかった。
支出された軍費は当時の国家予算の1割強にあたる約10億円(現在の貨幣価値で数兆円規模)に達した。目的の不透明な軍事行動によって国家財政は深刻な圧迫を受け、大戦後の経済復興に投じられるべき貴重な資本が、シベリアの荒野へと消えていったのである。経済的損失の大きさは、国民生活に直接的な暗い影を落とした。