1980年代後半、水曜夜8時の茶の間を独占した『志村けんのだいじょうぶだぁ』において、視聴者の最大の関心事の一つが「志村けんと松本典子の関係の真相」でした。画面越しに見せる阿吽の呼吸や、時折見せる親密な笑顔は、単なる共演者の枠を超えた親密さを感じさせたため、女性セブンや週刊現代をはじめとする当時の週刊誌各社は二人の熱愛疑惑を幾度となく報じました。
しかし、当時の番組スタッフや芸能関係者の証言、後年の本人の回顧録を総合すると、私生活における交際の事実は一切存在しません。当時、志村さんとプライベートでも浮名を流していたのはもう一人の看板女優であったいしのようこさんであり、松本典子さんとの関係は徹底した「師弟関係」であり「コントの共犯者」でした。
志村さんは生前、コントにおける松本さんの演技力を「勘が抜群に良く、間の取り方を教える必要がない数少ない逸材」と最大級の賛辞で評価していました。アイドルでありながらパイ投げのクリームまみれになり、タライを頭に落とされ、変顔や泥臭いボケを全力でやり切る姿勢に、志村さんは深い敬意を払っていました。松本さん自身も、志村さんの徹底したリハーサルと笑いに対する妥協なき姿勢に心酔しており、男女の甘い感情を超越したプロフェッショナル同士の強固な絆がそこには築かれていたのです。