ヨウ素の過剰摂取が長期間続くと、甲状腺の機能が著しく低下する「甲状腺機能低下症」を引き起こすリスクが高まります。甲状腺ホルモンが不足すると、全身の代謝が低下し、慢性的な倦怠感、むくみ、無気力、冷え症、体重増加といった症状が現れやすくなります。風邪や疲労と勘違いしやすいため、発見が遅れることも珍しくありません。
さらに注意が必要なのが、自己免疫疾患の一つである「橋本病(慢性甲状腺炎)」の持病がある方や、その潜在的な素因を持っているケースです。橋本病の患者がヨウ素を過剰に摂取すると、甲状腺の炎症が悪化し、症状が急速に進行することが知られています。専門医の診察を受けると、まず最初に行われる食習慣の指導として「海藻類の摂取制限」が指示されるのはこのためです。無自覚のうちに予防意識から毎日大量の海草を食べ続けることが、かえって病状を刺激してしまうという皮肉な事態を避ける必要があります。