日焼け直後の肌に対してシートマスクやパックを使用することが「逆効果」とされる最大の理由は、日焼けの本態が紫外線による急性熱傷、すなわち「軽度のやけど(サンバーン)」である点に集約されます。皮膚科学的な見地から見ると、火照って赤くなった肌は表皮細胞が広範囲に損傷を受け、毛細血管が拡張して熱を帯びた炎症状態にあります。
この初期フェーズでシートマスクを密着させると、角層を密閉する作用(ODT効果)によって肌内部にこもった熱が外へ逃げ場を失います。その結果、熱放散が阻害されて患部が蒸れたような状態になり、炎症反応がさらに加速してしまいます。「ひんやりして気持ちいい」という体感はシートに含まれる水分が蒸発する際の一時的な感覚に過ぎず、深部熱を封じ込めてしまう危険性が潜んでいるのです。
さらに見過ごせないのが、バリア機能が崩壊した角層に対する「浸透刺激」です。健康な肌であれば有効に働く防腐剤(フェノキシエタノールやパラベンなど)、エタノール、植物エキス、合成香料といった微細な添加物であっても、傷口が露出しているに等しい日焼け肌には強烈な刺激因子へと豹変します。日本皮膚科学会の臨床報告でも、サンバーン発症直後の過剰な保湿処置が接触皮膚炎(かぶれ)を併発させ、結果的に炎症後色素沈着を長期化させる主因として指摘されています。