唇顎口蓋裂は、胎児の顔が形作られる妊娠初期(妊娠4週〜10週頃)に、本来くっつくはずの左右の組織がうまく癒合しないことで生じます。日本における発生確率は約500人に1人と報告されており、東洋人に比較的多く見られる疾患です。裂の部位によって、唇のみが分かれる「口唇裂」、上あご(口蓋)が分かれる「口蓋裂」、歯茎(顎堤)まで及ぶ「唇顎口蓋裂」に分類されます。
多くの親御さんが最も気にする「原因と遺伝」ですが、特定の遺伝子だけで発症することはごく稀です。受胎前後の偶発的な環境因子(母体の栄養状態、薬の服用、感染症、ストレスなど)と微小な体質的要因が複雑に絡み合って起きる「多因子遺伝」と考えられています。家族歴が全くないケースが全体の8割以上を占めており、「妊娠中の過ごし方が悪かったのでは」と思い詰める必要は一切ありません。
超音波(エコー)検査でいつわかるのかという点については、超音波機器の解像度向上に伴い、妊娠18週〜22週前後の胎児スクリーニング検査で口唇裂が指摘されるケースが増えています。ただし、口蓋裂(口の中の天井部分の裂)は口唇が開いていない限りエコーで見えにくく、出産時の産声や初回診察で初めて判明することも珍しくありません。