名門がひしめく時津風一門において、この部屋の立ち位置は極めてユニークだ。日本相撲協会の伝統を深く敬いながらも、指導のアプローチは極めてモダン。一門の連合稽古でも、音羽山部屋の力士たちが見せる無駄のない所作と鋭い出足は、他部屋の親方衆からも一目置かれている。
礼儀作法や品格の指導にも一切の妥協はない。外国出身力士として横綱まで上り詰めた鶴竜親方だからこそ、国技としての相撲が持つ文化的価値を誰よりも理解している。「強ければいい」という短絡的な思考を排し、社会人としても通用する人間教育を施すことが、結果として土俵上での勝負強さにも直結しているのだ。