悲劇の発端は、ファルムス王国と西方聖教会が仕掛けた周到な罠にあった。魔国連邦(ジュラ・テンペスト連邦国)を取り囲むように展開された二重の大結界――「四方印封魔陣」と「浄化の結界」。これにより、魔物たちの能力は大幅に弱体化し、魔法通信すら遮断される絶体絶命の環境が作り出された。
講談社から刊行されている原作小説(ライトノベル)でも屈指の緊迫感を誇るこの場面で、シオンが見せた行動はあまりにも愚直で、そして気高かった。リムルがかつて掲げた「人間に手を出してはならない」という誓いを頑なに守り、迫り来る兵士たちの刃に対して全力の反撃を控えたのだ。幼い子供を庇い、血に染まって倒れた彼女の姿は、多くの異世界ファンタジー作品の中でも特筆すべき悲痛な名シーンとして語り継がれている。