ネット上のQ&Aサイトや受験生向け掲示板では、「倍率を4倍にしたら、接眼ミクロメーターの1目盛りも4倍になるのか、それとも4分の1になるのか」という質問が後を絶ちません。ここで多くの初学者が直感に騙されます。
顕微鏡を低倍率(例えば100倍)から高倍率(400倍)に切り替えると、視野に見える細胞は4倍に拡大されます。すると人間の脳は「拡大されたのだから、ミクロメーターの数値も4倍になるのではないか」と錯覚してしまうのです。しかし、正解は真逆の「4分の1」です。
なぜそうなるのか。視野に見えている接眼ミクロメーターの目盛り間隔は、目の前にあるガラス板の線ですから全く広がりません。その変わらない目盛りの下を、4倍に巨大化した細胞が通過する様子を想像してください。低倍率のときに「接眼ミクロメーター4目盛り分」だった細胞は、像が4倍に膨らむため「16目盛り分」を占有するようになります。細胞自体の実際の長さは一切変わっていないにもかかわらず、目盛り数だけが4倍に増えたのです。
ここから導き出される事実は一つしかありません。「対物レンズの倍率を上げると、接眼ミクロメーター1目盛りが表す実際の長さは、倍率に反比例して縮小する」ということです。この光学的事実を感覚として掴んでいないと、共通テストの誘導設問で選択肢を逆に選ぶ致命的なミスを犯すことになります。