旅行予約サイトやSNSの検索欄で「塔のへつり」と入力すると、サジェストに「通行止め」「崩落」「危険」といった言葉が並び、現地の状況を危惧する声が少なくありません。しかし、結論から言えば、観光地としての塔のへつりは閉鎖されておらず、主要な景観や吊り橋の鑑賞は問題なく楽しむことができます。
では、なぜこのような危険視する噂が定着してしまったのか。その背景には、過去の自然災害と安全対策に伴う「遊歩道の一部恒久的な立入制限」が存在します。
かつて塔のへつりでは、大川を渡った対岸の岩肌を削った細い回廊を伝い、複数の奇岩の奥深くまで巡回できるルートが存在していました。しかし、凝灰岩や頁岩(けつがん)からなる断崖は風化しやすく、過去の台風や豪雨による落石、足元の浸食被害が確認されたため、下郷町および関係当局によって危険箇所の立入禁止措置が取られました。現在も虚空蔵尊のお堂周辺より奥に延びる断崖沿いの細道は、来訪者の安全確保のため通行止めが継続されています。
また、対岸を結ぶシンボル「藤見橋(吊り橋)」についても、定期的なワイヤー点検や修繕工事の期間中、あるいは冬季の激しい積雪・凍結時や悪天候時に一時的な通行規制が敷かれることがあります。こうした一時的な措置や奥部ルートの封鎖情報がネット上で断片的に広まり、「全体が通行止めで渡れないのではないか」という誤認を生む原因となっているのが真相です。
2026年現在、展望台からのパノラマビュー、藤見橋を渡るスリル、そして橋を渡った先にある岩窟の「虚空蔵尊」へのお参りは通常通り可能です。自治体による地盤調査と安全パトロールが定期実施されており、立入禁止のバリケード内に入らない限り、過度に崩落を恐れる必要はありません。