新幹線の製造は、単なる工業製品の組み立てラインとは一線を画す、国家レベルの精密土木と航空宇宙工学が融合した巨大プロジェクトです。1編成(16両編成の場合)でおよそ全長400メートル、総重量は約700トンにも達する巨大構造物を、わずか数ミリの誤差も許さずに組み上げます。その大まかな流れは、主に5つのステージに大別されます。
第1段階は「構体(ボディ)製作」です。現代の新幹線では、極限の軽量化と高剛性を両立するため、アルミニウム合金 ダブルスキン構造が標準採用されています。これはダンボールの断面のように中空構造を持った大型アルミ押出型材を組み合わせるもので、内部に補強リブが組み込まれているため、驚異的な軽さと耐衝撃性能を両立できます。このアルミ部材を、材料を溶かさずに原子レベルで接合する「FSW(摩擦攪拌接合)」などの高度な溶接技術で隙間なく一体化させていきます。
第2段階は「塗装・下地処理」です。風雨や砂塵、時速300km超の風圧に耐えうる特殊塗料が、何層にもわたってロボットと職人の手作業により均一に吹き付けられます。第3段階の「ぎ装(ぎそう)」では、車体内部に断熱材や防音材を敷き詰め、数千本に及ぶ電気配線、空調ダクト、窓ガラス、座席シート、運転台コンソールを隙間なく配置します。そして第4段階で「台車」と車体を結合し、第5段階の「最終検査・構内試験」へと進みます。
この一連の製造工程を担うのが、山口県下松市に位置する日立製作所 笠戸事業所、兵庫県神戸市の川崎車両 新幹線製造部門、そして愛知県豊川市に拠点を置く日本車輌製造といった、日本が世界に誇る車両メーカーの御三家です。各社はJR各社からの発注を受け、高度な独自技術を競い合いながら製造を分担しています。