大分から愛媛をはじめとする四国地方へ車でアクセスする場合、結論から言えば費用・時間・運転疲労のすべての指標においてフェリー利用が圧倒的に有利です。移動計画を立てる多くの旅行者が「フェリーは車両運賃が高いから、高速道路を自走した方が節約になるのではないか」という先入観を抱きがちですが、実際の運行・走行データを精緻に試算すると、その認識は完全に覆されます。
具体的な数字で両者を突き合わせてみましょう。大分市役所を出発地とし、愛媛県松山市役所を目的地として設定した場合、大分から愛媛車最安ルートの筆頭である「国道九四フェリー(佐賀関〜三崎)」を利用する航路ルートと、関門橋およびしまなみ海道を経由する陸路ルートの比較データは以下の通りです。
陸路を選択した場合、大分宮河内ICから東九州自動車道に乗り、北九州の関門橋を渡って山陽自動車道を東進、尾道からしまなみ海道(西瀬戸自動車道)を経て今治、そこから松山へと南下します。総走行距離は約560kmに達し、休憩なしで走り続けても約7時間30分〜8時間を要します。大分から四国陸路高速道路料金はETC通常料金で約1万6,000円〜1万8,000円(深夜割引適用時でも約1万2,000円)。これに燃費15km/L・ガソリン単価175円で計算した燃料代(約6,500円)を加算すると、片道にかかる総コストは約2万3,000円〜2万5,000円に膨れ上がります。
一方、大分市内から佐賀関港へ向かい(車で約40分)、フェリーで三崎港へ渡り(乗船70分)、そこから松山市内へ一般道および高速道路で移動(約1時間40分)した場合、トータルの移動時間は乗り継ぎの待ち時間を含めても約4時間前後で収まります。費用面でも、全長4m以上5m未満の普通車運賃(ドライバー1名分の2等運賃込み)は約1万700円前後、陸上走行分の燃料代を合わせても約1万3,000円前後で完結します。
つまり、フェリーを利用することで移動時間を約4時間短縮し、コストも約1万円以上削減できる計算になります。一人移動であってもフェリーが圧勝し、同乗者が増えて一人頭のガソリン代・高速代の按分メリットを考慮した場合でも、過酷な長距離運転による事故リスクやドライバーの体力消耗を勘案すれば、陸路を選ぶ合理的理由は極めて限定的と言わざるを得ません。