「二の字」という見立ては、建築だけでなく日本人の装身具や身体観にも深く根づいています。
履物における二の字下駄 特徴は、台の裏に前歯と後歯の2枚が平行に取り付けられた、最も普遍的かつ完成された構造にあります。一本歯下駄が修験者や武術の鍛錬、あるいはバランス訓練に用いられたのに対し、二の字下駄は圧倒的な接地安定性を持ちます。歩行時に重心が自然と母指球から抜けるため、背筋が伸び、独特の快い足音を響かせます。江戸時代には雨の泥跳ねを防ぐ利便性と、歯をすり減らしながら長く履き込む庶民のエコノミーが両立した実用工芸の象徴でした。
一方、人相やメイクの歴史で語られるのが二の字眉 印象です。眉頭から眉尻までが漢数字の「二」のように水平に引かれ、上下のラインが直線的に揃った眉形を指します。江戸後期の浮世絵や歌舞伎の化粧において、二の字眉は「裏表のない実直さ」「一本気な職人気質」「純朴な意志の強さ」を視覚化する記号として重用されました。現代のアイブロウトレンドにおいても、適度な太さを持つ平行ストレート眉は、誠実で親しみやすい印象を与える基本骨格として再評価されています。