進路に関するネット上のコミュニティやSNSでは、「私立はいじめがなく手厚い」「公立は治安が悪く放置される」といった極端な二元論が散見されます。しかし、現場の実態を取材すると、単純な優劣では語れない制度上の差異が浮き彫りになります。
公立学校は義務教育段階において「生徒を排除できない」という法的制約があります。問題行動を起こす生徒がいた場合でも、出席停止措置を慎重に検討しつつ、教育相談所やスクールカウンセラー、児童相談所等の公的機関と連携しながら校内で包摂・指導を継続することが求められます。これがいじめ対応の初動の遅れと映るケースがある一方、どんな生徒も見捨てずに公教育の枠組みで支えるセーフティネットとしての強さを持っています。
一方の私立学校は、在学契約(私法上の契約)に基づく教育機関です。校則違反や重大ないじめ行為に対しては、停学や退学勧告、自主退学の促しといった毅然とした処分を迅速に下す権限を持ちます。そのため、「生活規律が乱れにくい」という安心感がある反面、学校側の価値観や集団の空気に馴染めなかった子どもが孤立した場合、逃げ場を失いやすいという側面も併せ持っています。
また、私立特有の人間関係として「保護者間の経済水準や価値観の比較による無言のプレッシャー」や「成績下位層への補習フォローが手厚い学校と、上位層の進学実績作りを優先して下位層を放置する学校の格差」が存在することも知っておくべき盲点です。