結論から整理すると、最も厳格で格調高い表記は「伍仟円」(旧字の円を用いる場合は「伍仟圓」)です。一方で、日常の冠婚葬祭において「伍千円」と書いたからといって、マナー違反として責められることは実務上まずありません。
この二つの違いは、「千」という文字に対して大字の「仟」を適用しているかどうかにあります。それぞれの文字の成り立ちを分解すると、以下の対応関係になります。
- 「五」の大字:伍(「人」+「五」で、隊伍などを意味する強固な文字)
- 「千」の大字:仟(「人」+「千」で、千人を束ねる頭を意味する文字)
- 「円」の旧字:圓(周囲を丸く囲む本字)
法律上の根拠をたどると、明治時代に制定された「公証人法」や「商業登記法」の運用規程、さらに「大字を用ふべき数字に関する法令」において、数字の改ざんを防ぐために「壱、弐、参、拾」の使用が義務付けられました。この際、「千」については「仟」を用いてもよいとされつつも、一般的な帳簿実務では画数の簡略化から「伍千円」と記される慣例が定着していった経緯があります。
現代の冠婚葬祭や領収書において最高位の敬意や厳格さを示したい場合は「伍仟円」、書きやすさやすっきりとした視認性を重視する場合は「伍千円」を選択すれば間違いありません。