「ケツだけ星人 なぜ消えた」という疑問の根本には、1990年代から2000年代にかけて繰り広げられた日本PTA全国協議会との激しい攻防が存在します。
1992年にテレビアニメの放送がスタートした直後、瞬く間に子どもたちの間で社会現象となった『クレヨンしんちゃん』。しかしその反面、日本PTA全国協議会が毎年実施していた「親が子どもに見せたくない番組」アンケートでは、1990年代半ばから2000年代初頭にかけて連続でワースト上位(1位〜3位)の常連となっていました。全国の幼稚園や小学校で、子どもたちがしんのすけの真似をして人前でズボンを下ろす事態が多発し、保護者や教育現場からテレビ朝日および制作会社のシンエイ動画へ苦情が殺到したのです。
現場関係者や当時のアニメーション関係者の証言によると、2000年代中盤から段階的な「露出制限」のガイドラインが敷かれ始めました。特に大きな転換点となったのは以下のポイントです。
第一に、「生尻(素肌のお尻)」を画面に大写しにする頻度の削減です。初期は当たり前のように描かれていた「局部やお尻の直接描写」「ぞうさん踊り」はほぼ完全に見直され、ケツだけ星人に関しても「ズボンを脱がず、服を着たままお尻を振る」演出へと段階的にシフトしていきました。
第二に、金曜19時台のゴールデンタイムから土曜夕方4時30分枠への放送枠移動(2019年秋改編)に伴う視聴ターゲットの再定義です。夕方枠への定着にあたり、家族全員で安心して見られる「ハートフル&ファミリーコメディ」としての純度を高めるため、過激な下ネタ描写を自発的にセーブする方針が確立されました。