ネット上の口コミや知恵袋などを検証すると、「冷凍したらパサパサになって激しく後悔した」「スポンジが縮んでゴムのようになった」という悲痛な失敗談が散見されます。なぜ自己流の冷凍保存は失敗に終わるのでしょうか。取材で見えてきたのは、スフレチーズケーキ特有の繊細な構造を無視した「3つの致命的な落とし穴」です。
第一の落とし穴は「ホールのままの丸ごと冷凍」です。
買ってきた箱やビニール袋のまま冷凍庫へ放り込むと、中心部まで完全に凍結するまでに数時間以上を要します。緩慢凍結(ゆっくり凍ること)の過程でスフレ生地内部の水分が巨大な氷の結晶へと成長し、繊細な気泡壁をズタズタに破壊してしまうのです。その結果、解凍時に水分が「ドリップ」として流出し、ケーキ本来のしっとり感が完全に消失してしまいます。
第二の落とし穴は「ラップの密閉不足による冷凍焼けと匂い移り」です。
りくろーおじさんのチーズケーキは、一般的なベイクドチーズケーキやニューヨークチーズケーキと比べて水分保有率が非常に高いのが特徴です。隙間のある包み方をしていると、冷凍庫内の超乾燥した冷気によって表面から水分が急激に昇華し、いわゆる「冷凍焼け(フリーズドライ現象)」を起こします。さらに、卵と乳脂肪分を多く含む生地は周囲の生活臭を強力に吸着する性質があるため、魚やニンニクといった冷凍庫内の匂いが移り、「薬品や冷蔵庫のような味がしてまずい」という悲劇を招くのです。
第三の落とし穴は「凍った後の切り分けトラブル」です。
「後で食べる分だけ切ればいい」とホールで凍らせてしまうと、カチカチに凍結したスフレ生地に包丁が刃こぼれせんばかりに弾かれます。無理に力を入れるとケーキが不規則に砕け散り、底面に敷かれたシロップ漬けレーズンが無惨に飛び散る結果となります。事前の切り分けこそが、成功と失敗を分かつ境界線なのです。