戸越銀座通りが人々を魅了してやまない最大の理由は、「生活のリアル」と「観光のエンターテインメント性」が極めて高い次元で融合している点にあります。日本各地に「〇〇銀座」と名乗る商店街は300箇所以上存在しますが、その本家本元とも言える歴史を持つのがこの戸越銀座商店街です。1923年の関東大震災で被災した銀座のレンガを譲り受け、水はけの悪かった通りに敷き詰めたことがその名の由来となっています。
通りは西から順に「商栄会」「中央街」「銀六会」という3つの振興組合で構成されており、それぞれ異なる表情を持っています。西側の商栄会は生活に密着した青果店や精肉店が並び、中央街は観光客で賑わう名物飲食店が集中、東側の銀六会は閑静で洗練されたカフェや個性派ショップが点在します。この1.3kmを一本道で歩き通せる直線構造が、訪れる者に「次はどんな店があるのだろう」という連続的な探求心を抱かせます。
地域振興の担当者が「観光地化しすぎず、地域住民が毎日通う惣菜屋や八百屋が元気であり続けることこそが商店街の生命線」と語る通り、日常の活気そのものが最大の観光コンテンツとなっているのです。