「ミルキーはママの味」というキャッチコピーの由来は、単なる情緒的な宣伝文句ではなく、製品そのものの原材料設計に直結しています。ミルキーの発売日は1951年(昭和26年)。当時の日本は第二次世界大戦の爪痕が深く残り、多くの子どもたちが栄養失調に苦しんでいました。不二家の創業者・藤井林右衛門氏と開発陣は、「子どもたちに本当に栄養のある、安心して食べさせられる本物のお菓子を届けたい」という一心で開発をスタートさせました。
そこで主原料に選ばれたのが、北海道産の新鮮な生乳から作られる加糖れん乳(練乳)でした。れん乳に含まれる成分バランスや濃厚なコクは、母親の母乳のやさしい甘みと極めて近い特徴を持っています。当時の開発記録や社史によると、人工的な甘味料や香料を極力排除し、乳本来の風味を生かす製法を追求した結果、「これはまさに母親の愛情、すなわちママの味そのものだ」という確信に至り、この歴史的フレーズが生まれました。
また、宣伝展開においても画期的な試みが行われました。三木鶏郎氏が作詞・作曲を手がけたミルキーCMソングの歌詞(「ミルキーはママの味〜」の印象的なリフレイン)は、急速に普及し始めた民間ラジオ放送を通じて全国のお茶の間に浸透。母親が子どもに買い与えたくなる安心・安全のシンボルとして、日本全土へ爆発的に広がっていったのです。