長らく庶民の人生訓として語り継がれてきたこの言葉ですが、近年の医学界・生命科学界では、精神論を超えた「生体防御反応のトリガー」として厳密な臨床研究が進められています。その代表例が、大阪大学大学院医学系研究科や日本笑い学会、吉本興業などが連携して実施した一連の生化学実験です。
実験では、健常者および生活習慣病やがんのリスクを抱える被験者に漫才や喜劇を鑑賞させ、鑑賞前後の血液を採取して免疫指標の変動を追跡しました。その結果、被験者が腹の底から笑った直後、体内のウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃する主力部隊であるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性度が劇的に正常化することが確認されました。特に、実験前においてNK細胞の働きが基準値を下回っていた被験者の約7割が、笑いを経験した直後に正常範囲内まで数値を押し戻したというデータは、医学界に大きな衝撃を与えました。
この現象の鍵を握るのが、神経ペプチドと呼ばれる情報伝達物質です。感情が動いて笑うと、間脳から善玉の神経ペプチドが血中に放出され、それがリンパ球の表面にある受容体に結合してNK細胞を瞬時に目覚めさせます。さらに、笑顔を作る表情筋の動きそのものが三叉神経を介して大脳皮質へフィードバックされるため、たとえ作り笑いであっても脳が「快の感情」と誤認し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制することが判明しています。自律神経においては、優位になりすぎた交感神経の緊張を解き、副交感神経を優位に導くスイッチとして機能するため、血流の改善や血管内皮機能の保護にも直接的な好影響を及ぼします。