くるみを巡るもう一つの重大な脅威が、劇的な増加を見せる食物アレルギーです。厚生労働省および消費者庁が主導した全国調査において、くるみによる即時型食物アレルギー症例数は過去10年で急伸し、鶏卵、牛乳、小麦に次ぐ規模に達しました。この結果を受け、食品表示法において原材料表示が義務づけられる「特定原材料」にくるみが追加され、従来の7品目からくるみ特定原材料8品目体制へと完全移行しています。
くるみアレルギーの厄介な特徴は、「極めて重篤化しやすい」点です。発症時に現れるくるみアレルギー初期症状は、口の周りのかゆみ、赤み、蕁麻疹、唇の腫れといった皮膚・粘膜症状から始まります。しかし、そこから急速に症状が進行し、咳き込み、ゼーゼーする喘鳴(ぜんめい)、腹痛、頻回の嘔吐、顔面蒼白、ぐったりして意識が朦朧とするなど、複数の臓器に症状が及ぶナッツアレルギーアナフィラキシー対応を迫られる割合が他の食品に比べて有意に高いデータが示されています。
「自然食品だから身体に良い」「少し舐めるくらいなら大丈夫」という根拠のない過信は命取りになります。特に乳児期に重度の乳児湿疹(アトピー性皮膚炎)を患った経験がある子どもは、荒れた皮膚のバリア破壊を通じてアレルゲンが侵入する「経皮感作」が起きている可能性があり、初めて口にした一口で猛烈なアナフィラキシーショックを発症する危険が潜んでいます。