食事を拒む親に対し、「固形物は食べないけれど、お茶やスポーツドリンクを飲んでいるからひとまず安心」と胸をなでおろす家族は少なくありません。しかし、老年医学の専門家はこの認識に強い警鐘を鳴らしています。高齢者の脱水症状は水分不足だけでなく、塩分をはじめとする電解質バランスの崩壊を伴うため、水やお茶だけを摂取していても細胞レベルでの脱水は防げないからです。
固形物を摂らない状態が続くと、わずか数日で血清アルブミン値が急降下し、筋肉量が削られる「低栄養スパイラル」に陥ります。筋肉量の急減は身体活動を奪い、転倒による大腿骨骨折や寝たきりを引き起こす最大の引き金です。日頃の観察で危険度を客観的に把握するため、現場で用いられる状態別の判断基準を整理しました。
脱水が進むと血液の粘度が上がり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも跳ね上がります。「水は飲めているから」と様子を見るのではなく、尿の回数、舌の湿り気、呼びかけた時の明瞭さを細かく観察し、異常を感じたら迷わず次の医療アクションへ移らなければなりません。