東宝の撮影所をはじめ、数多の映画現場で彼が放つ存在感は伝説的だ。早朝のセットインから深夜のロケまで、疲労の色を微塵も見せず、テストの段階から本番さながらの熱量でカメラに向き合う。共演する若手俳優たちがその気迫に気圧され、芝居のギアを一段も二段も引き上げられる場面を、関係者は何度も目撃してきた。
日本アカデミー賞協会からも数々の栄冠を授与されてきた経歴は、単なる勲章ではない。主役として作品の看板を背負う重圧も、脇役として全体を支える職人技も、彼は軽やかに、かつ重厚に演じ分ける。その根底にあるのは、映画という総合芸術に対する底知れぬ敬意と、表現者としての愚直なまでの誠実さだ。