ネット上の誤った情報や愛猫家の思い込みによって、かえって病態を悪化させてしまうケースが後を絶ちません。最も危険な誤解は、「病院へ連れていくストレスのほうが怖いから、まずは暗い部屋で安静に休ませる」という判断です。
確かに猫にとって通院は大きなストレス要因ですが、すでに呼吸不全を起こしている個体を放置して自然治癒することは医学的にあり得ません。休ませている間に胸水や肺水腫はさらに拡大し、窒息死のリスクを指数関数的に高めるだけです。
また、「苦しそうだから抱きしめて安心させようとする」行為も致命的なミスに繋がります。胸水や重度喘息を抱える猫にとって、抱っこによる胸郭への圧迫はそれ自体が致死的な負荷となります。猫が香箱座りのような体勢のまま肘を外側に広げ、首を伸ばしてじっとしている(起座呼吸)場合、それは「これ以上胸を圧迫されたら息ができない」という極限状態の姿勢です。撫で回したり無理に抱き上げたりすることは厳禁です。