トルコは中東ですか?ヨーロッパかアジアか曖昧な定義の真相

トルコは中東ですか?ヨーロッパかアジアか曖昧な定義の真相

トルコは中東ですか?ヨーロッパかアジアか曖昧な定義の真相の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でまとめました。

トルコが西側陣営の安全保障枠組みに組み込まれた背景には、冷戦初期の切迫した軍事情勢がありました。トルコNATO加盟の経緯を辿ると、1945年の第二次世界大戦終結直後、ソ連のスターリンがトルコに対してボスポラス・ダーダネルス両海峡の共同管理や領土割譲を要求したことが決定打となりました。

ソ連の南下圧力に危機感を募らせたトルコ政府は、西側諸国への接近を急速に強め、朝鮮戦争(1950〜1953年)には国連軍の一員として約1万5,000人規模の精鋭部隊を派遣しました。その目覚ましい戦果と犠牲が評価され、トルコはギリシャとともに1952年2月18日に正式にNATOへ加盟を果たします。以降、トルコ軍はNATO内で米軍に次ぐ兵力規模(現役兵力約40万人超)を誇り、同盟の南東側フランクを死守する要衝であり続けています。

対照的に、半世紀以上も混迷を極めているのがトルコのEU加盟問題と現状です。トルコは1959年にEUの前身である欧州経済共同体(EEC)に準加盟を申請し、1987年には正式加盟を申請、1999年に加盟候補国として承認されました。2005年には正式な加盟交渉が始まったものの、2026年現在、交渉プロセスは事実上の完全凍結状態にあります。

表向きの障害とされているのは、キプロス問題の未解決や、司法の独立性、人権擁護といった「コペンハーゲン基準」の未達です。しかし、欧州各国の外交官が非公式に認める最大の懸念は、人口約8,500万人を誇るイスラム教徒多数派国家がEUに加わることによる、欧州議会の議席配分や人の自由移動に伴うパワーバランスの激変です。「軍事的には欧州を守る盾として必要だが、政治的・文化的なクラブには招き入れない」という西欧の本音が、トルコ側の反欧州感情を醸成し、中東・イスラム世界への独自の関与を後押しする結果を生んでいます。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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