ネット上の検索窓にブランド名を打ち込むと、サジェストに浮上する「まずい」「甘すぎる」というネガティブワード。こうしたネット上の反応や口コミを丹念に精査していくと、パンそのものの品質不良というよりも、購入者の「期待値と実態の乖離」が引き起こした味覚のミスマッチが浮かび上がってきます。
「うん間違いないっ!」の味の設計は、トーストせずにそのままちぎって食べる「生食」を前提に、極限まで甘みとコクを際立たせるアプローチを取っていました。練乳や生クリーム由来の濃厚な甘味、シルクのようななめらかな食感は、最初の一口に強烈な多幸感をもたらします。大手レビューサイトやSNSの初期投稿でも「ケーキのように甘くて驚いた」「耳まで柔らかくて子どもが一気に食べた」と絶賛が相次ぎました。
しかし、これが「毎朝食べる主食」になった瞬間、評価は暗転します。
「目玉焼きやハムと一緒に食べるには甘すぎる」「糖分と油分が強すぎて胃もたれする」「トーストすると糖分ですぐに焦げてしまう」といった声が増加しました。日本の食卓において、主食である白米や食パンに求められる根源的価値は「おかずを邪魔しない淡白さ」と「毎朝食べても飽きない軽さ」です。高級食パンが目指したリッチな配合は、本質的に「主食ではなく菓子パン・スイーツの領域」に属していたため、日常的な消費サイクルに乗ることができなかったというわけです。
こうした状況を打破すべく、ブランド側も手をこまねいていたわけではありません。後半には「うん間違いないっ!特製サンドイッチ」やたまごサンド、厚切りカツサンド、季節のフルーツサンドといった惣菜・中食需要を取り込むメニューを投入。単体では持て余しがちな2斤サイズから、ランチ需要に合わせた個食提案へとシフトすることで客層の維持を図りましたが、サンドイッチ用の具材管理やロス率は単一パン販売に比べて跳ね上がり、収益性の抜本的改善には至りませんでした。